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共白髪まで



壮年超えてから妻が一層愛しくて仕方がないです。


以下小話




僕の初めての、そして最後の恋人マリサさん。
彼女との結婚を決めたのは彼女が僕の目の前で盛大に転んだからだ。


QUKRIA_SS_0027.jpeg

同い年であった僕よりもずっと落ち着いた雰囲気を持ち、何事にも動じない冷静な美しい女性。
当時、彼女と付き合い始めたばかりの僕が、彼女に抱いていた印象はまだそんなものでしかなかった。
その頃の僕にとって彼女は何もかもが未知の存在で、彼女が持つ大人びた雰囲気の力も相まってか、多少の気後れさえ感じていたように思う。
高嶺の花が僕の手の中にうっかり落ちてきた、なんて馬鹿なことも考えていたっけ。
だからそんな彼女との逢瀬は、楽しく心躍るものであったと同時に多少息苦しく、何よりも緊張する物だった。
細心の注意を払い、やや背伸びをして。彼女に釣り合わなくともせめて楽しんでもらえるように。
この誰よりも美しい女性の微笑みが僕のせいで消えてしまわないように。
とにもかくにも僕は、彼女を優しくエスコートする紳士であろうと勤めた。

『それ』が起きたのはたぶん何回目かのデートの後、彼女を家まで送ったその帰り道だったと思う。
彼女の家からほんの数十歩ほどの距離を歩いたところで僕は彼女の家の扉が開く音で立ち止まった。
何か言い忘れた事でもあったのだろうかと首をかしげた僕を追い越すようにして小走りに家を出た彼女は、何もない場所で突然、転んだ。
顔から地面に突っ込んだその様子はいっそ見事であったと言ってもいい。
「ぎゅう」、とも「むぐっ」ともとれるような声も聞こえた気がする。
あまりに予想外で突然の出来事に驚き、僕は声をかけることすら出来なかった。
あっけにとられてその場で立ち尽くすだけだった僕は、どんな間抜けな顔をしていただろう。
ただ、彼女にとっても僕にとっても幸いな事に他に人の気配はなく、この短い時間に起こった一連の出来事は二人だけの秘密となった。
やがて彼女は何事もなかったかのように起き上がり顔や服についた土――これも幸いな事に乾いていて、軽く払うだけで簡単に取れた――を手で払うと何事もなかったかのようにその場を走り去っていった。
彼女は一体どんな顔をしていたんだろう。
遠ざかる彼女の後姿をぼんやりと眺めながら僕はそんなことを考えた。
それから、頭の中で普段の大人びた姿の彼女と、たった今見たばかりの同い年の少女を重ね合わせ、彼女の人となりをああでもない、こうでもないと想像する作業に入った。
僕は彼女を非の打ち所のない完璧な女性だと思い込んでいた。実際今まで僕が見てきた彼女はそうだった。


なんてことない、彼女も只の女の子だったんだ。
ひょんな偶然が呼んだ新たな発見に僕は胸を躍らせた。
漠然と僕を支配していた恋という感情がはっきりと形を持ち、さらに熱い何か別の感情へと形を変えていくのが分った。
まだ芽吹いたばかりの、名前を付ける事もできない程にささやかな物だったが、やがてそれが大きな実を結ぶであろうことを、僕はこの時半ば確信していた。

また、会いたいな。
とりあえずは、明日のデートの約束を取り付ける事から始めよう。
そう思って僕が駆け出したのはそのすぐ後の事だ。







本当にマジで目の前ですっ転んだんですよマリサさん。
やばい、なにこの子可愛い!!って本気で思いました。

marisa.jpeg
2012-11-11
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